異色の学園ジュブナイルRPG「Caligula2/カリギュラ2」とは?
「Caligula2/カリギュラ2」(以下:カリギュラ2)とは、フリューによって発売されたRPG作品。
「偶像(アイドル)殺し×現代病理」、「学園ジュブナイルRPG」と他のRPGとは一線を画したキャッチコピーが目立つ一作です。
どこか不安定で脆い印象を与える独特の世界観と、緻密で魅力的なストーリーがファンを魅了して止まず、第一作目「カリギュラ」の時点で多くのファンを獲得しています。
第一作目「カリギュラ」とそのアップグレード版「カリギュラ オーバードーズ」からシステム面やグラフィック面で強化された第二作目。
新たな要素もたっぷりと盛り込まれた二作目は、一体どのような感じに仕上がっているのでしょうか。
ここではそんな疑問にお答えすべく、第一作目を骨の髄まで遊んだ(自称)筆者が遊んでみた印象をレビューしていきたいと思います。
- カリギュラ2はフリューの大人気RPG作品「カリギュラ」の続編!
- 新たな「バーチャドール」と理想の世界を巡る、現代的なジュブナイルストーリーが魅力!
- 前作で好評だった独特のシステムに加えて、新たなシステムで更に遊びやすさがグレードアップ!
この記事は5分で読み終わりますので、最後まで読んでいってくださいね!
カリギュラ2の基本情報
フリューが送る学園ジュブナイルRPG第二作目「カリギュラ2」の基本情報は以下の通りです。
タイトル | Caligula2/カリギュラ2 |
ジャンル | 学園ジュブナイルRPG |
対応機種 | ニンテンドーswitch/PS4 |
発売元 | フリュー |
開発元 | ヒストリア |
プレイ人数 | 1人 |
発売日 | 2021年6月24日 |
以上です。
前作と同じスタッフによるカリギュラの正統続編!
カリギュラ2はフリューより発売されているRPG作品。
独特の世界観とシステム、耽美なイラストを持つ、他に類を見ない魅力をかもし出す作品です。
前作で好評だったキャラクターデザイン「おぐち」氏を始め、今回も前作と同様の開発陣によって作られました。
そのため、前作同様の独特な空気がそのまま受け継がれています。
ストーリーも前作より陸続きであることが明言されています。
そのためか、前作のキャラクターを思わせるキャラクターも登場しています。
ただし、彼女らの存在が前作の彼女らと関係があるかどうかは、プレイ前の状態ではかなりぼかされています。
他にも前作を彷彿させるシーンや、前作を意識したストーリー展開、前作を下敷きにした演出なども登場。
嫌でも前作とのつながりを実感させられるような仕様です。
以上のことから、カリギュラ2は単独でも楽しめる方ではありますが、前作である「カリギュラ」や「カリギュラ オーバードーズ」を事前にプレイすることが推奨されます。
新たな歌姫「リグレット」と「キィ」!二人の歌が「リドゥ」で響く!
前作では「μ」と「アリア」といった二人のバーチャドール(意思を持つボーカロイドのような存在)がキーキャラクターとなりました。
今回も同じように「リグレット」と「キィ」というバーチャドールが登場し、物語の中心人物となります。
二人のバーチャドールは歌うことによって人々の心に変化をもたらし、様々な影響を及ぼします。
その歌が今回も大きなカギとなるのですが、この二人の歌が前作よりも大きくパワーアップした部分の一つ。
前作は主に敵側のバーチャドールであるμが歌い、μの歌ばかりが作中に登場していました。
しかし、今回は敵側のバーチャドール・リグレットだけでなく、味方側のバーチャドール・キィも歌います。
リグレットの美しい歌声だけでなく、キィのパワフルで可愛らしい歌声も条件次第で堪能できるのです。
また、前回まではただのBGMや演出だけでしかなかった歌も、しっかりとシステムに組み込まれているという嬉しい部分も。
より歌姫と歌が密接に関わるカリギュラらしい部分を形成しています。
参加コンポーザーは(一人を除いて)一新!
リグレットやキィが歌う楽曲は、現実における「ボカロP」が実際に書き下ろした楽曲です。
それぞれ敵の「楽士(ボーカロイドのPのような存在)」ごとに決められたテーマソングが一つ作られています。
特徴満載のそれを楽士のダンジョンごとに流し、ダンジョン攻略を盛り上げてくれているのです。
今回の参加コンポーザーと対応楽士は以下の通りです。
kemu(堀江晶太)/マキナ
Ayase/パンドラ
ポリスピカデリー/ムーくん
かいりきベア/#QP
ぬゆり/ドクトル
Neru/クランケ
ツミキ/件
coSMO@暴走P/ブラフマン
sasakure.UK/リグレット(テーマソング)
前作でも「ソーン」という楽士の担当コンポーザーとして登場した「coSMO@暴走P」以外は全員が一新されています。
前作の楽曲も楽士の想いやトラウマを反映した印象的なものが揃っていましたが、今作も同様に印象的かつ個性的なものが多数。
楽曲を聞くだけでも深く世界に入り込めること間違いなしです。
尚、これらの楽曲は公式YouTubeチャンネルにて全曲視聴が可能。
上記に掲載した「マキナ」のもの以外も聞くことができますので、気になった場合は聞いてみることをおすすめします。
秀逸なキャラクターデザイン!戦闘時の姿も超印象的!
主人公ら「帰宅部」のメンバーは、「過去の後悔が無くなったバーチャル世界」である「リドゥ」から現実に戻るという目的を共有した同志。
それぞれ現実に対して大きな葛藤を抱えています。
それを反映してか、パーティメンバーは全員が外見的にも性格的にも非常に大きな個性を持った人物たち。
線の細い、淡い色彩の絵柄が彼らの魅力を引き立たせてくれていると言ってもいいでしょう。
また、帰宅部メンバーは戦闘時に「カタルシスエフェクト」という専用装備を展開します。
それらの装備を展開した姿も個性的。
それぞれの戦闘スタイルと抱えた葛藤が表に出た、どこか歪で異様な姿に変貌します。
そんな彼らの変貌や戦闘スタイルからもキャラクター性が読み取れるということが、カリギュラの一つの魅力でもあります。
尚、リドゥにいる住民は全員が「その抱えた後悔が無くなった、願いを叶えた後の姿」で存在しているという設定。
なので、帰宅部のメンバーも本当の本当に目に見えている姿が本来の現実での彼らであるとは限らないという特徴もあるのです。
そして、それは敵であり、帰宅部メンバーよりも奇抜な格好をしている楽士にも言えること。
敵側にも葛藤と過去、そして後悔があり、それが姿に現れているという点も、物語に深みを持たせる要素となっています。
キャラクターに盛り込まれたサイドストーリーが感じられるデザインが奇抜であるものの、とにかく秀逸と言わざるを得ません。
人の深層心理とトラウマを抉る衝撃的なストーリー!
カリギュラシリーズは「現代病理」をテーマの一つとして掲げています。
そのテーマ通りに人間のトラウマや内面に言及したストーリーが特徴。
キャラクターごとにそれぞれ深く根差してしまった心の傷があり、それらを絡めた繊細かつ緻密な心理描写が魅力です。
二次元のキャラクターでありながら、現代的でちょっと現実的な悩みを抱えたキャラクターたち。
知れば知る程、ゲームを遊べば遊ぶほど深くズブズブとハマっていくような感覚が味わえます。
カリギュラ2を遊んでみた感想レビュー!
ファン待望のカリギュラシリーズ最新作として登場した「カリギュラ2」。
前作の5年後を舞台とした正統派続編の今回、前回と比べて遊び心地などはどうだったのでしょうか。
前作「カリギュラ」と「カリギュラ オーバードーズ」を遊んできた筆者がレビューしていこうと思います。
グラフィックは綺麗になっている!
今作は最初「PS Vita」で発売された「カリギュラ」と違い、最初からPS4とニンテンドーswitchで発売されました。
そのせいか今回はアニメ的ながらもカリギュラらしい表現の質感でグラフィックが表現されているように思えます。
前作に比べると色彩や雰囲気がよりイラストの方に寄ったのではないでしょうか。
また、ムービーシーンと普段のポリゴンモデルのクオリティは大体イコール。
ムービーとポリゴン人形劇の乖離は見られません。
アニメ調な作品のせいかグラフィックのリアルさや美しさはないにしろ、カリギュラシリーズらしい雰囲気は出ています。
表情も前作に比べると豊かに描かれるようになっているため、会話シーンの不自然さも減ったと感じられます。
また、戦闘シーンの表現にも磨きがかかっています。
戦闘におけるバトルフィールドの表現が非常に美しくなっており、再生されている楽曲のリリックがMVのように表示されます。
「楽士の領域で戦っている」ということを嫌でも感じられるという演出に、思わず筆者は鳥肌が。
また、歌詞が視覚的に見えることで、まじまじと楽士のキャラクター性を観察することができるように。
カリギュラという作品のらしさに磨きをかけた表現が増えたと言えるでしょう。
バトルは前回の一方的な展開が難しく!
前作「カリギュラ」と「カリギュラ オーバードーズ」ではキャラクターの行動を最大三回まで設定する「連続行動」がとれました。
今回の2ではその連続行動が削除。
地に足をつけない戦法や、とにかく敵を行動させない戦いができなくなったということです。
そのため、敵である「デジヘッド」や楽士たちを一方的に倒す、ということは難しくなりました。
戦闘に制限がかけられた結果、戦闘における技のチョイスやタイミング、キャラクターの連携などに重点が置かれる戦いに変化。
「○○をしていれば勝てる!」といったようなバランスはなくなり、戦闘における手ごたえが増えたと言ってもいいでしょう。
フロアジャックが楽しすぎる!
カリギュラ2から新たに登場したシステム「フロアジャック」が、システム的にも演出的にも見どころ満載です。
画面右横にある「ボルテージ」がMAXになることで発動することが可能。
帰宅部側のバーチャドール・キィが登場し、戦闘の場を支配するという演出です。
キィが場を支配すると、BGMが事前に設定した楽曲に変化。
楽曲ごとに設定された効果をフロアジャック中に受けることができます。
制限時間はあるものの、一時的に能力値にブーストをかけて戦えます。
また、フロアジャックは「イマジナリーチェイン」発動中以外ならば戦闘中いつでも発動可能。
ボルテージさえ溜まっていればすぐに使えるのです。
使うとキャラクターの直前の行動は全てリセット、すぐに次の行動を起こせるようになります。
これを利用すれば、強力な攻撃を受ける前に行動をし直したり、敵への追撃をすぐに行ったりなどができるように。
頻繁に使えるものではありませんが、非常に強力な効果を持っています。
なにより、フロアジャックの際にかかる楽曲が大きな特徴。
今まで倒した楽士の楽曲や、特定の条件を満たして追加される楽曲、DLCを駆使すれば前作の楽曲も登場します。
これらすべてをキィがカバーしたバージョンで聞くことができます。
ボーカルが変わっただけで大きく印象を変える楽曲ばかりであり、リグレットともμとも違う味わい。
フロアジャック時の戦闘の爽快感も相まって、思わず頻繁にフロアジャックをしてしまうこと間違いないでしょう。
前作同様の魅力的なキャラクターたちが登場!
キャラクターは前作を匂わせているキャラクターがいるものの、全員が完全に一新。
新たな舞台で、新たなキャラクターたちと交流を重ねていくことになります。
もちろん彼らも前回の帰宅部や楽士同様に非常に魅力的です。
また、前作同様にキャラクターには隠された本当の姿もあります。
予想できるものから、予想できないものまで様々であり、どのキャラクターも気になって仕方がありません。
全キャラクターの正体を暴きたくなってしまうこと請け合いです(!?)
彼らの織り成すストーリーは、隠された情報が徐々に暴かれるという仕様上かなり先が気になるように作られています。
しかし、戦闘は比較的サクサクと進められないのがカリギュラの特徴。
ストーリーをどんどん進めて、さっさとその世界を堪能したい場合は、素直に難易度を下げた方がいいかもしれません。
前作にあった禁断の「アレ」は…?
前作のアッパーバージョン「カリギュラ オーバードーズ」から登場したとあるルート。
今回はあるのかどうか気になっている人はいるのではないでしょうか。
その気になる「あの」ルートですが、今回はあるという噂を聞きません。
少なくとも一周目にはないのではないかと思われます。
何より、今回は「キィ」と主人公が「ハンシン」同士ということで、あのルートは難しいのではないでしょうか。
2021年8月21日現在、筆者はエンディングを二度迎えましたが、あの禁断のルートの存在は確認できませんでした。
やはりキィを主人公の関係上、かなり難しかったのだと思われます。
今後も追加はないと考えられるでしょう。
総評
システム的には前作「カリギュラ オーバードーズ」の遊びやすさはそのままに、より攻略の手ごたえを足した印象でした。
手軽な強さを味わうことはできませんが、戦略性やキャラクター同士のシナジーを考えて戦うことが必要不可欠に。
ただ戦えばいいというものではないという点がプラスされたことは、ゲーマーとして楽しくなった部分だと思います。
その反面、フロアジャックを絡めた戦闘はハマれば爽快感MAX。
フロアジャックや戦闘の運び方に慣れ、キャラクターが増えてシナジーを組んだ中盤辺りからが戦闘が楽しくなるあたりでしょう。
世界観的には前作の雰囲気をそのまま継承し、前作を下敷きにしたストーリーが展開されていると言えます。
そのため、出来る限りは前作から遊んでみるのが推奨です。
まだ遊んだことがないというプレイヤーは、ぜひともカリギュラ オーバードーズを遊んでみてください。
遊ばなくてもある程度は楽しめるでしょうが、前作とのつながりを強く感じる作風なので、遊んだ方がより楽しめます。
楽曲やキャラクターは前回に負けず劣らず秀逸。
帰宅部も楽士も非常に魅力的ですね。
映像表現が進化したことで、視覚的なキャッチーさもアップし、感情移入や愛着もさらにわきやすくなっています。
キャラクターに関しては特に楽士に関して「見た目の異質さが少ない」とコメントでの指摘が見られました。
ですが、個人的には「これはこれで」という感じも。
最後は好みの問題なので、はっきりといいか悪いかは言えませんが。
全体的に良いところは残し、悪い部分は整えたという、まさしく正統進化と言うべき作品。
完全に続編と言っても良い作品に仕上がっていると思われます。
カリギュラシリーズが好きだったり、人間の緻密な心理描写が描かれる作品が好きという人にはぜひとも遊んで欲しいと言えるでしょう。
さいごに
学園ジュブナイルRPGという異色作「カリギュラ」の続編として世に出された「カリギュラ2」。
続編が出ないと思われていた作品だっただけに、かなり注目されています。
前作をやった人間としては今のところ不満はなく、十分に楽しめる作品です。
カリギュラシリーズをやったことがないプレイヤーにもおすすめしたいところですが、作品の内容的にはちょっと難しそうです。
まずは何らかの方法で前作を履修した方がいいと個人的には言いたいですね。
どちらにせよ、カリギュラシリーズの一本としては申し分ない作品。
興味があったらぜひとも手を出してみてください。
ライター紹介
- 幅広いゲームが大好きな、ゲーマー歴20年以上の女ヲタク「カンダカズマ」です。
海外ゲームから国内ゲーム、アクションからRPGまでいろいろ嗜みます。
マニアックなメーカーの作品を遊ぶことも多いので、マニアックでマイナーなメーカーの作品(特にエクスペリエンス社の作品)の面白さを共有できればと思います。
みなさまのゲーム選びの参考になれば幸いです。
よろしくお願いいたします。