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この記事では、ダメージ計算について、ちょっと深い話をいたします。
ダメージ計算についてジックリ考えたいと思います
みなさんこんにちは、「横島先生」です。
本日は、ダメージ計算で間違いやすい部分について、ざっくり見ていきたいと思います。
先日ネットサーフィンをしていたところ、以下のような質問を目にしました。
A:「攻撃力 1,950」、「会心ダメージ 100%」 B:「攻撃力 1,800」、「会心ダメージ 120%」 AとBはどちらが強いですか? |
その質問に対する回答として、以下のような様々な意見が出ていました。
・会心率の数値による
・同じようなダメージ期待値となる(AとBではほぼ同じ)
・会心はダメージ期待値に直結するため、攻撃力よりも会心ダメージが優先される(Bの方が強い)
このやりとりを見たときに、正直「ちょっと怖いな」と感じました。
質問する側が知識が無いのはしょうがないとしても、回答する側の内容がバラバラでは、誤った情報が広がる恐れがあります。
(むしろ、既に誤った情報が広がっていることも考えられます。)
答えは「会心率の数値による」と「AとBではほぼ同じ」がおおむね正解となります。
しかし、「Bの方が強い」と考えている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、このような問題もすんなりと解けるように、正しくダメージ計算を行うための基礎知識をご紹介したいと思います。
- 真っ先に把握しなくてはならないのが「基礎攻撃力」
- ダメージ期待値の計算方法
- どうして「会心系パラメータ」が優遇されるのか?
- 実際に比較してみましょう
この記事はおおよそ5分程度で読み終わりますので、さいごまでお付き合いください。
なお、この記事を簡単に纏めた動画をYouTubeにアップしておりますので、併せてご覧いただければと思います。
真っ先に把握しなくてはならないのが「基礎攻撃力」
「基礎攻撃力」とは?
「基礎攻撃力」は、キャラクターと武器(のみ)に設定されているパラメータです。
(キャラクターの基礎攻撃力と、武器の基礎攻撃力を足したものが、「基礎攻撃力」となります。)
基本ステータス画面では、攻撃力の欄に白地で表示されています。
ダメージ計算の根幹を成すパラメータでありながら、目立たない表示となっているのが恐ろしいところです。
ダメージ期待値の計算方法
ダメージ期待値の計算方法は、ざっくり示すと以下のような式になります。
ダメージ期待値 = 基礎攻撃力 × 攻撃力(%)× 元素ダメージ(%)× 会心系倍率(%)× 敵の耐性係数(%)× 防御補正(%) |
ここでは、影響度が比較的少ない「攻撃力(固定値)」は割愛しております。
この式で重要となるのは、「基礎攻撃力」だけが実数値であり、他のパラメータは「倍率(%)」であることです。
すべてが「掛け算」であるため、例えば「元素ダメージ」が10%伸びると、ダメージ期待値も10%伸びます。
また、聖遺物などで育成できる「攻撃力(%)」についても、10%伸びると、ダメージ期待値が10%伸びます。
これは、会心系倍率についても同様です。
つまり、ダメージ期待値上は「攻撃力(%)」も「元素ダメージ(%)」も「会心系倍率(%)」も価値が同じということです。
どうして「会心系パラメータ」が優遇されるのか?
一方、「会心率」や「会心ダメージ」が、「攻撃力(%)」よりも重要視されているのも事実です。
この理由は、「会心系倍率(%)」の計算方法に理由があります。
会心系倍率(%)÷ 100 = (会心率(%)÷ 100 × (会心ダメージ(%)÷ 100 + 1))+(1 - 会心率(%)÷ 100)= 会心率(%)÷ 100 × 会心ダメージ(%)÷ 100 + 1 |
ちょっとわかりづらい式ですが、「会心率」と「会心ダメージ」の掛け合わせであるため、2次関数的に増加します。
つまり、会心系のパラメータ(会心率と会心ダメージ)の数値が大きくなると、加速度的に「会心系倍率(%)」が増加することとなります。
そのため、ある程度の育成段階になると「攻撃力(%)」とよりも、会心系パラメータの方がダメージ期待値への寄与が大きくなります。
これが、会心系パラーメータが「攻撃力(%)」よりも重要視される理由です。
これは、逆を言えば、育成が進んでいない状態では、「攻撃力(%)」の方が重視されるシーンもあるということです。
実際に比較してみましょう
例題
あらためて、以下の質問について考えてみます。
A:「攻撃力 1,950」、「会心ダメージ 100%」 B:「攻撃力 1,800」、「会心ダメージ 120%」 AとBはどちらが強いですか? |
ここまでお読みいただいた方ならお気づきと思いますが、この問題には、AとBを比較するために「足りない要素」が幾つかあります。
・基礎攻撃力
・攻撃力(%)
・会心率(%)
・その他パラメータ
これらについて、詳しく見ていきます。
「基礎攻撃力」と「攻撃力(%)」について
ダメージ期待値 = 基礎攻撃力 × 攻撃力(%)× 元素ダメージ(%)× 会心系倍率(%)× 敵の耐性係数(%)× 防御補正(%) |
再掲となりますが、ダメージ期待値は以上の式で表されます。
ここで問題となるのは「基礎攻撃力」と「攻撃力(%)」ですが、個々の数値はわからないものの、掛け合わせた数値は問題に記されています。
Aの「基礎攻撃力」×「攻撃力(%)」=「攻撃力 1,950」 Bの「基礎攻撃力」×「攻撃力(%)」=「攻撃力1,800」 |
この2つを比較することによって、上式の黄色のアンダーライン部分の比較ができます。
1,950 ÷ 1,800 ≒ 1.083
つまり、上式の黄色のアンダーラインの部分においては、Aの方がBよりも「8.3%」大きいことがわかります。
「会心率(%)」について
会心系倍率(%)÷ 100 = (会心率(%)÷ 100 × (会心ダメージ(%)÷ 100 + 1))+(1 - 会心率(%)÷ 100)= 会心率(%)÷ 100 × 会心ダメージ(%)÷ 100 + 1 |
こちらも再掲となりますが、「会心系倍率(%)」は以上の式で求められます。
この質問には「会心率(%)」の数値が示されていないため、ダメージ計算に必要な「会心系倍率(%)」を求めることができません。
そこで、会心率を10%~100%まで、10%毎に仮定した場合の「会心系倍率(%)」を下表に示します。
会心率(%) | 会心ダメージ100%の場合の 会心系倍率(%)(A) | 会心ダメージ120%の場合の 会心系倍率(%)(B) | 会心系倍率の比率 (B)÷(A) |
10 | 110 | 112 | 1.018 |
20 | 120 | 124 | 1.033 |
30 | 130 | 136 | 1.046 |
40 | 140 | 148 | 1.057 |
50 | 150 | 160 | 1.066 |
60 | 160 | 172 | 1.075 |
70 | 170 | 184 | 1.083 |
80 | 180 | 196 | 1.089 |
90 | 190 | 208 | 1.095 |
100 | 200 | 220 | 1.100 |
この表で注目したいのが、「会心率70%」のときに、Bの「会心系倍率(%)」がAの「会心系倍率(%)」よりも「8.3%」大きくなっている点です。
その他のパラメータについて
「元素ダメージ(%)」や「防御補正(%)」などについては、明示されていないため、AとBで同じ数値であると仮定します。
AとBの比較
ダメージ期待値 = 基礎攻撃力 × 攻撃力(%)× 元素ダメージ(%)× 会心系倍率(%)× 敵の耐性係数(%)× 防御補正(%) |
改めて、ダメージ期待値を見ていきます。
各パラメータのキャラ間の比率を考えたとき、
・基礎攻撃力 × 攻撃力(%)は、Aの方が「8.3%」高い
・元素ダメージ(%)は同じ
・会心系倍率(%)は、会心率が70%の場合、Bの方が「8.3%」高い
・敵の耐性係数(%)は同じ
・防御補正(%)は同じ
となります。
そこで、比率だけを考えてみると、
Aのダメージ期待値の比率 = 1.083 × 1.0 × 1.0 × 1.0 × 1.0 = 1.083 Bのダメージ期待値の比率 = 1.0 × 1.0 × 1.083 × 1.0 × 1.0 = 1.083 |
となり、AとBが同じ比率となります。
つまり、AとBが同じ会心率「70%」と仮定すると、ダメージ期待値は全く同じになります。
また、会心率が70%を下回るとAの方がダメージ期待値が大きくなり、会心率が70%を超えるとBの方がダメージ期待値が大きくなります。
一方、会心率と会心ダメージの割合を「1:2」に調整していると予想し、会心率を50%~60%と想定すると、Aの方がわずかにダメージ期待値が高くなるものの、その差は僅差と言えます。
そのため、冒頭でもお示ししましたとおり、答えは「会心率の数値による」と「AとBではほぼ同じ」が正解となります。
このように、必ずしも「会心率・会心ダメージ」が「攻撃力」よりも優先されるわけではありません。
必ずしも「会心率・会心ダメージ」が「攻撃力」よりも優先されるわけではないという話のまとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本日は、ダメージ計算で間違いやすい部分について、ざっくり見てきました。
「会心率・会心ダメージ」が「攻撃力」よりも優先されると聞かされている方も多いと思います。
しかし、実際にはダメージ計算をしてみないと、その真偽はわかりません。
「複雑でめんどくさいなあ」と感じるかもしれませんが、正しい知識を持って、幾つかの事例を計算していくうちに、いつの間にか感覚で理解できるようになってきます。
ぶっちゃけると、こんなことを知らなくても楽しめるゲームではあるのですが、「より深く」楽しむための要素ではありますので、気が向いたらダメージ計算にチャレンジしていただければと思います。
では、本日はここまでとさせていただきます。
ではでは。
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ライター紹介
- こんにちわ、『横島先生』と申します。
工学の博士号を持つ異色のゲームライターです。
ネットゲーム歴は長く、「Diabro2」や「Age of Empire2」などの海外ゲームから入り、国産ゲームでは「FF11」を長くプレイしておりました。
現在はmihoyo社の「原神」に出会い、熱中しております。
皆様に有意義な情報をお伝えしたいと考えておりますので、何卒、よろしくお願いします。
twitterアカウント:https://twitter.com/yokoshimasensei
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