勝利の分かれ目「マストカウンター」
この記事では、遊戯王における「マストカウンター」について解説していきます。
展開デッキによるデュエルの高速化、それに伴う手札誘発の応酬により、現代遊戯王においてマストカウンターを見極めることはそのまま勝利に直結することも多くあります。
初心者にも分かるように、マスターデュエルで対戦する機会の多いデッキへのマストカウンタータイミングなどもまとめていますので、参考にしてください。
- マストカウンターの意味
- 各デッキの弱点
- 手札誘発のタイミング
この記事は約5分で読み終わるので、最後まで読んでいってください!
マストカウンターとは?
そのデュエルのなかで「必ず止めなければならない相手のカード」や、「それを阻止するために発動する手札誘発」などをマストカウンターです。
そうしなければデュエルに負けることが確定するほど、自分への被害が想定されるときの返しどころとも言い換えられます。
たとえば罠カードに依存したデッキである場合、相手が「ハーピィの羽根箒」を使用してきたのであれば、それをマストカウンターと認識し「神の宣告」を発動することなどが挙げられます。
考え方
マストカウンターは、「相手が一番嫌がるタイミング」を見極めることが重要になってきます。
すべてのカードを止めることは現実的ではなく、「止めたいけど、ここは通す」という決断と、それができるくらい相手のデッキを理解する必要があります。
特に現代遊戯王は展開デッキが環境を占めており、1枚のカードを止められると途端に勢いを失うものも多いです。
そのためにもマストカウンターのタイミング(相手が一番止められたくないカードを止める)を知ることは勝つために必要な知識ともいえます。
手札誘発を覚える
マストカウンターのタイミングは、そのまま「手札誘発」を使うタイミングともいえます。
手札誘発のような「後攻側で相手を妨害できる」カードを効率的に発動できないと、そのまま何もできずに負けてしまう可能性が高くなるからです。
「灰流うらら」や「増殖するG」など、現代遊戯王で頻繁に目にする手札誘発カードを改めて確認しておきましょう。
灰流うらら
チューナー・効果モンスター 星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800 このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。 (1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、 このカードを手札から捨てて発動できる。 その効果を無効にする。 ●デッキからカードを手札に加える効果 ●デッキからモンスターを特殊召喚する効果 ●デッキからカードを墓地へ送る効果
手札誘発を代表するカードの1枚です。
現代遊戯王においては入れない理由を考えるほうが難しく、ほとんどのデッキに投入されていると思っていいでしょう。
「デッキを触る効果」すべてに反応し、それを無効にしてくれます。
現代遊戯王において、デッキからのサーチカードは確実に投入されているため手札で腐ることがほとんど無い優秀な妨害札です。
毛嫌いされやすいカードでもありますが、無制限で3枚投入できることを考えると「現代遊戯王における抑止力」と認識しておいたほうがいいかもしれません。
増殖するG
効果モンスター 星2/地属性/昆虫族/攻 500/守 200 このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターン でも発動できる。 (1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。 このターン、以下の効果を適用する。 ●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、 自分はデッキから1枚ドローしなければならない。
相手が特殊召喚するたびに自分はドローできるようになる手札誘発。
「灰流うらら」のように直接的な妨害はしませんが、その拘束力は現代遊戯王では脅威となります。
「鉄獣戦線」のような、下級モンスターの特殊召喚を繰り返し、上級のリンクモンスターに繋げていくような展開系のデッキにはとにかく刺さり、この1枚で動きを止めるデュエリストも珍しくありません。
ただし、特殊召喚するかどうかを決めるのは相手に依存するため、無駄打ちになることも。
汎用性が高くどんなデッキにも入りますが、「灰流うらら」で止められる場面も多くあります。
エフェクト・ヴェーラー
チューナー・効果モンスター 星1/光属性/魔法使い族/攻 0/守 0 (1):相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、 相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。 その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
相手フィールドのモンスター効果を無効にできる手札誘発カード。
汎用性の高さが魅力のほか、ステータスや属性面でも優秀な1枚といえます。
ただし、相手のメインフェイズにしか発動できず、「灰流うらら」や「増殖するG」などと比べると発動タイミングは慎重になる必要があります。
原始生命態ニビル
効果モンスター 星11/光属性/岩石族/攻3000/守 600 このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。 (1):相手が5体以上のモンスターを召喚・特殊召喚したターンの メインフェイズに発動できる。 自分・相手フィールドの表側表示モンスターを可能な限りリリース し、このカードを手札から特殊召喚する。 その後、相手フィールドに「原始生命態トークン」 (岩石族・光・星11・攻/守?)1体を特殊召喚する。 このトークンの攻撃力・守備力は、この効果でリリースしたモンスター の元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。 この効果は相手ターンでも発動できる。
相手が5体以上のモンスターを召喚・特殊召喚した時、手札から発動できるカード。
発動後はフィールドのモンスターを全てリリースし、自フィールドに特殊召喚、その後に相手フィールドにリリースしたモンスターの合計ステータスを持つトークンを特殊召喚します。
相手の盤面を崩す役割をもち、デッキによっては壊滅状態にまでもっていけます。
ただし発動条件が限られており、相手によっては4回で展開を終えたり、発動されても動ける「ニビルケア」をしたりと対策はされやすいです。
強力な手札誘発ではあるものの、汎用性の高さは上記3枚には劣るでしょう。
アーティファクト―ロンギヌス
効果モンスター 星5/光属性/天使族/攻1700/守2300 (1):このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠ゾーンに セットできる。 (2):魔法&罠ゾーンにセットされたこのカードが 相手ターンに破壊され墓地へ送られた場合に発動する。 このカードを特殊召喚する。 (3):相手ターンに、手札・フィールドのこのカードをリリースして 発動できる。 このターン、お互いにカードを除外できない。
(3)の効果が手札誘発として機能し、お互いそのターン中カードを除外できません。
使用場面が限定的であるものの「除外」することでアドバンテージを稼ぐデッキが環境上位にいる場合は投入する機会が見込めます。
それ以外には汎用カードの「墓穴の指名者」、「抹殺の指名者」のメタとしても使うことが考えられるでしょう。
一見すると使いにくそうに見えますが、(1)(2)のアーティファクトの共通効果を利用すれば腐りにくいという点は他の手札誘発には無い利点といえます。
墓穴の指名者
速攻魔法(準制限カード) (1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを除外する。 次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及び そのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。
相手の墓地のモンスターを除外し、そのモンスター効果を無効にする速攻魔法カードです。
自分のターンでは、相手の「灰流うらら」や「増殖するG」などコストで手札から墓地に送られるカードへのメタカードとして役立ちます。
それ以外にも「墓地リソースを奪える」点を利用した器用な使い方が可能です。
もっぱら「相手の手札誘発モンスター」への対処としてデッキに入れられていることが多いですが、思っている以上に発動機会は多く腐りにくいのが特徴といえます。
抹殺の指名者
速攻魔法(制限カード) このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。 (1):カード名を1つ宣言して発動できる。 宣言したカード1枚をデッキから除外する。 ターン終了時まで、この効果で除外したカード及びそのカード と元々のカード名が同じカードの効果は無効化される。
自分のデッキからカードを除外し、同名カードを無効化する速攻魔法カード。
「墓穴の指名者」と違い、モンスター・魔法・罠すべてに対応できます。
主に上記で紹介したような汎用カードへのメタカードとしての役割を持ちます。
ミラーマッチではほとんどのカードを無効化できる一方、あまり見かけない地雷デッキに対しては腐りやすいのが特徴です。
無限泡影
通常罠 自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。 (1):相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。 セットされていたこのカードを発動した場合、 さらにこのターン、このカードと同じ縦列の他の魔法・罠カードの効果は無効化される。
自分フィールドにカードが存在しない場合、手札から発動できる罠カード。
「モンスターの効果を無効化する」という汎用性の高い効果にくわえ、手札から発動できるという奇襲性もあわせ持ちます。
手札からの発動条件「カードが存在しない場合」は後攻であれば簡単に満たせるため、主に後攻時の妨害札として活躍するでしょう。
伏せた場合でも効果は変わらず、「縦列の魔法・罠カードを無効化」という効果が追加されます。
デュエルの高速化が進むなか罠カードを一切入れないデッキも多いですが、「無限泡影」だけはその性能から「とりあえず入れてもいい罠」として採用するデュエリストも少なくありません。
環境デッキのマストカウンタータイミング
この項目ではマスターデュエルで当たりやすいデッキへのマストカウンタータイミングを解説していきます。
ただし、どのデッキも相手の手札・構築によっては止まらないこともあれば、そもそも妨害1枚だけでは展開を抑えられないものも多い点は理解しておいてください。
「鉄獣戦線」
「鉄獣戦線 フラクトール」の効果に対して「灰流うらら」を打ちましょう。
初動カードであるフラクトールは墓地肥やしとサーチを担い、そこからリンク召喚で動きはじめます。
ここを止めなければ相手のリソースが増えてしまい、1枚の妨害では抑えきれなくなるためです。
「灰流うらら」が無かった場合は、牽制として「増殖するG」を打つか、場を空ける「原始生命態ニビル」、墓地除外からのリンクを阻む「アーティファクト―ロンギヌス」などが役立つでしょう。
とにかく展開力があり、完全に停止させることが難しいデッキです。
どのデッキにもいえますが、初動カードが何かを理解しそこだけは止めるようにしましょう。
「デスピア」
「デスピアの導化アルベル」のサーチ効果に対して「灰流うらら」か「エフェクト・ヴェーラー」を使いたいところです。
デスピアの初動はアルベル以外に速攻魔法の「烙印開幕」があり、そこから融合召喚を行ってアドバンテージを稼いできます。
また、アルベルは墓地でも効果を発動するため「墓穴の指名者」なども有効。
なんにせよアルベルの効果が通るとジリ貧になりかねないので、ここを止めて間違いはないでしょう。
「エルドリッチ」
「紅き血染めのエルドリクシル」、「黒き覚醒のエルドリクシル」、「白き宿命のエルドリクシル」の各「エルドリクシル」カードには「灰流うらら」を打っていいでしょう。
特に、デッキからアンデット族を特殊召喚する「紅」と「黒」は必ず止めたいところ。
エルドリッチデッキは「黄金卿エルドリッチ」が場か墓地にいることで回り始めるため、エルドリッチを容易に出せるカードはどれも要注意になります。
対して除外されることには弱いため、墓地に行ったなら「墓穴の指名者」で対処が可能です。
継戦能力が高いので、動きが止まったなら早めに決着をつけることを心がけましょう。
「閃刀姫」
「灰流うらら」なら「閃刀起動-エンゲージ」に、「エフェクト・ヴェーラー」なら「閃刀姫-カガリ」に対して発動するのがいいでしょう。
特に墓地に魔法カードが3枚以上ある場合のエンゲージを許してしまうと、大きなアドバンテージを与えてしまうため何としても止めたいところです。
カガリも同様にアドバンテージを稼がれてしまうためマストカウンタータイミングといえます。
閃刀姫デッキは、リンク1の閃刀姫モンスターと墓地で発動する「閃刀姫-レイ」の効果によって戦線を維持し、専用の魔法カードでアドバンテージを確保します。
そのため、「墓穴の指名者」で除外する第1候補はレイと覚えて問題ないでしょう。
「海晶乙女(マリンセス)」
魔法カード「海晶乙女の潜逅」に「灰流うらら」、相手がマリンセスだと分かった時点で「増殖するG」が打ちどころでしょうか。
マリンセスはリンク1から高リンクのマリンセスへと繋げていくため、たとえ初動カードを止めたとしても展開される場面が多くなります。
モンスターカードに「灰流うらら」を使うなら、デッキから専用罠をサーチできる「海晶乙女-コーラルトライアングル」のほうがベター。
ある程度展開したところで「原始生命態ニビル」を発動すれば戦線を崩壊させられるかもしれませんが、マリンセスは効果耐性を付与できたり、ニビルケアできる展開もあったりと安定はしません。
マストカウンターを見極めるのはかなり難しいですが、初動の下級モンスターを止めるか、展開の途中を止めるかは手札や状況によって判断していきましょう。
「ふわんだりぃず」
初動の下級モンスターに「灰流うらら」や「エフェクト・ヴェーラー」、罠なら「無限泡影」を発動か、展開前に「アーティファクト―ロンギヌス」を打つことがマストになってきます。
特に止めたいのは、上級モンスターをサーチできる「ふわんだりぃず×いぐるん」でしょう。
ふわんだりぃずデッキはモンスター効果に頼っている部分があり、初動を止められると大抵止まります。
また、下級ふわんだりぃずは場を離れると除外され、その後に場に鳥獣族が召喚されると手札に戻ってくるなどリソースが尽きにくい点も特徴です。
そのため「アーティファクト―ロンギヌス」などはかなり刺さる反面、汎用カードの「墓穴の指名者」が腐りやすいのは覚えておきましょう。
「LL(リリカルルスキニア)」
ここでいうLLデッキとは、マスターデュエルで多く見かける、いわゆる「LL鉄獣(LLと鉄獣戦線の混合デッキ)」になります。鉄獣戦線カードに関しては「鉄獣戦線」の項目を参照してください。
魔法カード「LL・バードコール」に「灰流うらら」、大量展開するテーマであるためデッキが分かった時点で「増殖するG」は打ってもいいでしょう。
「FNo.0未来龍皇ホープ」が出てくることもあるため、「原始生命態ニビル」は素材となる「FNo.0未来皇ホープ」が立ったところを狙ってください。
「相剣」
サーチカード「龍相剣現」には「灰流うらら」、初動となる「相剣師-莫邪」や「相剣師-泰阿」の効果には「増殖するG」や「無限泡影」が手札誘発の打ちどころとなります。
「フルール・ド・バロネス」もよく出てくるため確実ではありませんが、もしもバロネスが出てくるまでに多くの手順を踏んでいるならすぐさま「原始生命態ニビル」を出してもいいでしょう。
基本的に初動の「相剣師-莫邪」や「龍相剣現」を止めることが重要になってきます。
マストカウンターまとめ一覧
上記デッキのマストカウンタータイミングを一覧にしてまとめました。
必ずしも「このタイミングであれば絶対に止まる」わけではない点を留意しつつ、参考にしてください。
デッキ | 有効な手札誘発 | タイミング |
---|---|---|
鉄獣戦線 | ・「灰流うらら」 | フラクトールの効果発動時 |
デスピア | ・「灰流うらら」 ・「エフェクト・ヴェーラー」 | 「デスピアの導化アルベル」の効果発動時 |
エルドリッチ | ・「灰流うらら」 | 各「エルドリクシル」カード(特に「紅き血染めのエルドリクシル」と「黒き覚醒のエルドリクシル」) |
閃刀姫 | ・「灰流うらら」 ・「エフェクト・ヴェーラー」 ・「墓穴の指名者」 | うらら=エンゲージ エフェクト・ヴェーラー=カガリ 墓穴=墓地のレイ |
海晶乙女(マリンセス) | ・「灰流うらら」 ・「増殖するG」 | うらら=「海晶乙女の潜逅」 増G=マリンセスと分かった時点で |
ふわんだりぃず | ・「灰流うらら」 ・「エフェクト・ヴェーラー」 ・「アーティファクト―ロンギヌス」 | うらら・ヴェーラー=「ふわんだりぃず×いぐるん」 ロンギヌス=下級ふわんだりぃずが出てきた時点で |
LL(リリカルルスキニア) | ・「灰流うらら」 ・「増殖するG」 | うらら=魔法カード「LL・バードコール」 増G=LLと分かった時点で |
相剣 | ・「灰流うらら」 ・「無限泡影」 | うらら=魔法カード「龍相剣現」 無限泡影=「相剣師-莫邪」 |
まとめ|マストカウンターを見極めろ!
「このカードを止めなければ負けが濃厚となる」相手のカードを止めることを「マストカウンター」といいます。
その主なタイミングは、後攻で打つ手札誘発の打ちどころ(当てどころ)で、代表的な手札誘発が「灰流うらら」や「増殖するG」でした。
現代遊戯王では、妨害札1枚で止めきれない展開デッキは多くあります。
しかし、どんなデッキにも弱点があり、相手も「ここだけは止められたくない」という場面は確実に存在しています。
そのタイミングを見極められれば、勝率も大きく上がるはずです。
記事内で紹介したマストカウンターもあくまで例であり、実際に対面してみなければ分からないこともあるのがカードゲームの面白いところ。
実戦を重ねて、そのデュエルごとのマストカウンターを見極めていきましょう!
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