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召喚した時の姿に驚かれやすいサーヴァント
召喚した時、初めて見た方が驚きそうなサーヴァントの一騎とも言えるのがナーサリー・ライムですね。
実は彼女、自分に存在する本来の「ルール」を破ってカルデアに来ています。
悲しくて優しい、そんなサーヴァントのお話をしましょう。
- 子どものための物語である「ナーサリー・ライム」の特徴
- 「同じ姿で召喚されない」はずなのに、彼女の姿が初出作品と同じ理由なのは
- 彼女が大切にしている、「ありす」とは
- 所々に語られる「砂糖」というキーワードの理由
記事としては性能解説などを含んでいない、キャラクター解説がメインなので3分程度でお読みいただけると思います。
ナーサリー・ライムの「ルール」
ナーサリー・ライムのルール、制限というものは「ナーサリー・ライムだからこそ」というものです。
童話、子どものための物語の集合体……つまりは概念に近い存在の彼女に、「特定の姿」というものはありません。
ありません、というか、「得られない」のが正確でしょう。
召喚者が望む姿になる、つまりは次に何処かで召喚された時に同じ姿を取ることが出来ないのです。
けれど、彼女は初出作品と同じ姿で現れましたね。
それは単純に作品ファンへのサービスとも言えますが、そこにはきちんと「理由」がありました。
オベロンからのボイスとその意味
実は、マイルームにてオベロンからナーサリー・ライムへのボイスが存在します。
詳細は省きますが、同じく「読み手に忘れられる者同士」ということから、「同類として薄情な奴らを滅ぼしてから、お茶でもどうか」というようなものです。
どうしても、物語というのは忘れてしまいます。
どれだけ心を打たれた作品でも、一言一句覚えている人というのはどれだけいるでしょうか。
幼い頃に読んだ絵本の詳細を、今どれだけ思い出せるでしょうか。
なんとなく覚えている、という人の方が多いかもしれませんね。
ナーサリー・ライムは、それを肯定します。
「読まれて、忘れられてもそれでいい」のだと。
「自分は子どものための物語で、いつか忘れられるものなのだ」と。
ひとつの物語の登場人物であるオベロンと、子どもへの物語の集合体というナーサリー・ライムという立ち位置の違いが、ここに出ているのではないでしょうか。
ナーサリー・ライムのマスターとは?
性能がいいということもあり、この概念礼装をお持ちの方は多いと思います。
この礼装に描かれている少女こそが、月の聖杯戦争においてのナーサリー・ライムのマスターでした。
彼女の特殊な立ち位置から、ナーサリー・ライムは主人公を苦戦させ、能力も強く「バーサーカーかもしれない」と疑われた程です。
モルフォ蝶が意味するもの
この概念礼装には、モルフォ蝶が描かれています。
モルフォ蝶というと、他のゲームで名前を知ったり、印象に残った方が多いと思います。
青く美しいこの蝶ですが、餌となるものは花の蜜などではありません。
腐った果実、動物の死骸から滲む汁……そういったものです。
そしてそんな性質を持つモルフォ蝶が集まっているということは、「彼女がどういう状態なのか」と気付くには充分な材料でしょう。
また、装飾によって見にくくなっていますが、水面に映る部分には明るい色も光も何もありません。
モルフォ蝶と不穏な水面、それが意味するところ。
彼女が幸福な人生ではなかったというのが窺えると思います。
「あの子(ありす)」の願いを抱えて、彼女は存在している
「昔々ある所に、女の子がおりました。
お友達と遊びたい年頃の女の子です。
ある日、空からよく分からないものが降ってきて、
女の子のいる町はぐしゃぐしゃになりました。
女の子には、普通の人にはない不思議なものがありました。
それで生きていられた女の子を、これはいい材料だと軍隊と悪いお医者さんは連れて行きました。
ずっとずっと、痛いことをされて……痛くなくなった時、女の子はひとりぼっちでした。
一緒に遊べるお友達もいない、何処なのかも分からない場所でひとりぼっちになりました」
ナーサリー・ライムのマスター、ありすのことを絵本風にお話するならこうでしょうか。
辛かった、痛かった、苦しかった、それしかなかったありすの為に、ナーサリー・ライムは自らのルールを曲げました。
彼女の代わりに、彼女がしたかったようなことをする、と。
それが彼女への手向けだと。
遊んだり、本を読んだり、お茶会をしたり、それがどれだけ細やかなことだとしても。
かつてのマスターが得られなかった幸せを、夢を、彼女が願ったこの姿で、と。
「砂糖菓子」と表現された終わりすらも、大切に抱えて
ナーサリー・ライムの台詞の端々には、「砂糖」「砂糖菓子」という単語が入っていることがあります。
例えばこのバレンタイン礼装でもそうですね。
これも、ナーサリー・ライムに関わっています。
というのも、月の聖杯戦争において彼女達が敗北した時……その消え方の表現に「砂糖菓子」という単語が使われたのです。
月の聖杯戦争は、ムーンセルが例外を許してはくれません。
戦場に出なければ、決闘場に入ることの出来る条件を揃えなければ、そして勝たなければどんな存在であろうと容赦なく切り捨てられます。
データを分解される……つまり死ぬというわけですね。
淡く儚く消えていった白と黒の砂糖菓子、それがありすとありす(ナーサリー・ライム)です。
どうか、少しだけでも思いを馳せていただけたら。
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