【乙女ゲーム】今から始めるレンドフルール【温故知新】

はじめに

数ある女性向けジャンルの中の1つ、女性向け恋愛シミュレーションゲーム(以下乙女ゲーム)。

任天堂の公式サイトに「Swich乙女」という専用ページがあるほど、Swichを支える一大ジャンルです。

今回は2019年4月25日にSwitchで発売された「レンドフルール for Nintendo Switch」を紹介します。

この作品は PS vita で発売されたものの移植版。

移植される=過去の作品だが人気のあるもの、と言えるでしょう。

過去の名作乙女ゲームを知る「乙女ゲーム温故知新シリーズ」

今回は、他の乙女ゲームとは一線を画す異色の作品「レンドフルール」を紹介します。
  1. 少女と四人の騎士が滅びゆく世界を救う
  2. 騎士達が直面する「運命」「呪縛」「理不尽」「解放」そして「執着」
  3. 犠牲や葛藤を抱えながら進むストーリー
本作の攻略記事はこちら。

「レンドフルール for Nintendo Switch」どんなゲーム?ネタバレなし完全攻略・スチル集め

この記事は3分で読み終わりますので、最後まで読んでいってくださいね!

プロローグ:滅びゆく人間達の世界を救う少女と四人の騎士達

かつて、天上の女神は命を育む力【グラース】を地上の人間達に与え、滅びの運命から救った。
女神は永い眠りにつき、天上では女神の依代【レーヌ】とレーヌへ忠誠を誓う人間【四人の騎士】がグラースを地上に与える役割を代行することとなった。
グラースよって人間達の世界は繁栄したが、ある時、レーヌが不在となってしまい、グラースの地上への供給は途絶え、人間達は再び滅びの運命へと向かっていった。
時が経ち、ようやく次代のレーヌとなるヴィオレット(主人公:名前変更可)が誕生する。
レーヌに就任する直前、ヴィオレットは地上の人間から四人の騎士を選出するが、彼らとの信頼関係は未熟であり、このままではレーヌと騎士の使命を務めることができない。
グラースの力で人間達を救うため、ヴィオレットは騎士達の信頼を得られるよう、彼らと向き合うことを決意する――

天上界と地上界

人間達の住む地上界は、天上界からもたらされるグラースによって繁栄・安定しています。
ではグラースが与えられなくなるとどうなるかというと、繁栄・安定の逆ですね。
自然災害や気候変動で作物が育たなくなり、人間達は減る一方の資源を求めて争い、最後には滅びる運命にあります。
地上界は4つの国からなっており、騎士達は各国1人ずつ選ばれます。
さて、そんな人間達を救うのが主人公なのですが、彼女は人間ではなく、天上界で育った神の一族のようなものです。
人間を救う使命があることは教育されてきましたが、実感が伴っていません。
物語開始時点で「箱入り娘の甘い理想」という程度の考えしかできていないため、協力関係となるべき四人の騎士達とも信頼関係を築けません。
主人公は、無知ゆえの傲慢であったり、無自覚に相手を怒らせる、傷つけるといった描写があります。
きちんと謝ることもするのですが、プレイヤーの感覚とズレていると感じればストレスかもしれません。
そこを神々の世界で育ったという特殊な背景として受け入れられるか、その先の成長を楽しみにできるか、がこのゲームを楽しめるかの分岐点になると思います。
主人公にかなり特殊な設定があるため、自己投影しながらプレイするよりは、主人公が女神の代行者としてどう成長する物語なのか?という視点でプレイすることをお勧めします。

女神の依代・四人の騎士・番人

(声優名敬称略)

ヴィオレット

女神の依代として生まれ、地上界の人間達を救う使命を背負った少女。

それゆえに箱入り状態で育てられ、交友関係も限定的。

人として様々な経験を積んで生きてきた騎士達への理解は今一歩足りないと感じる言動も。

未熟であれど使命を務める意志は本物であり、騎士達と信頼関係を築こうと、拙いながらも対話を重ねていきます。

レオン

自由と破壊の騎士
年齢:24
出身:北国ピヴォワンヌ
CV:興津和幸
本来は騎士に選ばれなかった人間ですが、主人公の肖像画に一目惚れ。
騎士になれば主人公に会えると、半ば強引に騎士の資格を掴み取り、天上界へやってきました。
一目惚れというのは天上界へ来る口実などではなく本気も本気。
初対面から主人公に押しの強すぎるアプローチをして引かれてしまいます。
使命を務めることに緊張している主人公には、時にその前向きな言葉に励まされる存在です。
主人公への恋を「運命」と断言する彼と、使命の結末は……?

ルイ

秘密と退廃の騎士
年齢:22
出身:南国カンパニュール
CV:浪川大輔
王族であり、見た目も振る舞いも完璧な「理想の王子様」。
女神の依代である主人公にも相応の敬意を払いますが、彼の言葉には裏があると評価する人物も。
騎士に選ばれると、人間として生きてきた過去や未来を全て捨てなくてはならないのですが、その捨てるものに対して全く執着しなかった、という報告を主人公は受けます。
何にも執着しないルイが騎士の務めを果たしてくれるのか?彼の本心はどこにあるのか?その理由はある「呪縛」にあるのですが……。

ギスラン

戒めと狂乱の騎士
年齢:20
出身:東国クリザンテーム
CV;近藤隆

自他共に厳しい性格で、主人公が仕えるに相応しい人物かは自分で決める、と言い切ります。

初対面で主人公は彼の言葉にひるみますが、使命の重さを考えればそれも当然の態度。

人間の頃は軍人として名を知られており、騎士の使命も生半可な気持ちではなく、世界の命運がかかっている責任を強く自覚しています。
それもそのはず、出身国は土地が痩せている厳しい環境ですが、つまりグラース不足の影響を強く受けているということ。
祖国のためにも、主人公に上に立つ者の自覚を強く求めるのです。
しかし、世界を救う騎士たるべくあろうとする彼は、ある「理不尽」に直面します……。

オルフェ

親愛と孤独の騎士
年齢:19
出身:西国ウィエ
CV:KENN
年齢が主人公に最も近く、主従関係というよりも友達感覚で会話ができる相手です。
人間としての彼は、吟遊詩人として旅をしながら、歌を披露して生計を立てていました。
旅の中で培われたコミュニケーション力で、初対面の主人公ともすぐに打ち解けますが、一方で騎士の自覚という点ではまだとまどいもあるよう。
明るい性格ですが、孤児であるという過去に起因する孤独を内面に抱えています。
どこか不安定な彼の心は、騎士となったことで「解放」されるのでしょうか?

ユベール

柩と檻の番人
年齢:27
天上界パルテダームの宰相
CV;杉田智和
主人公の教育係で、彼女が幼い頃から一緒にいる兄のような存在。
常に主人公のことを気遣っており、使命のために初めて騎士達と会う主人公のことも心配でなりません。
主人公が最も頼りにしている人物ですが、宰相である顔を見せるときは内心を隠すような態度を取ります。
主人公と主人公の使命に向ける姿勢は「執着」と呼べるほど強いものですが、その理由は……?

世界を救う使命の果てに

主人公が使命を果たす途中に困難に見舞われ、乗り越えて成長し目的を達成する、というストーリーの型がありますが、そのスケールがとにかく大きいです。
主人公は地上界の人間全ての運命を左右する存在ですが、それだけの力を持つ存在の彼女は、天上界の住人にとっても特別なもの。
人間達を救おうと奔走する過程で明らかになる事実に打ちのめされる」場面の連続です。
その中で、主人公は一人の騎士と愛を育んでいくのか、忠誠心と共に使命に立ち向かうのか、それがどんな結果に行き着くのか、目が離せません。
物語を進めるほどに「これでよかったのか、という思いが消えないが、先に進むしかない」という苦味を感じますが、それが本作の醍醐味だと筆者は思います。
本作の神は万能ではありません。
それ故に、矛盾や行き詰まりの中でどのような選択をするのか、その結果をどう受け止めるか。
乙女ゲームだけれどもただ甘いだけではなく、葛藤や犠牲について考えさせられる本作は、好みが分かれるタイプのゲームです。
考察が好きな方、世界観が好きだと思える方、そして幸せなだけでなく考えさせられるストーリーが好きな方、他の追随を許さない、唯一無二の体験ができる本作をプレイしてみてはいかがでしょうか