初代「PC-8801版 イース」の何が凄かったのかを解説

初代 PC-8801版 イースが当時与えたインパクトとは?


初代 PC-8801版 イース(通称:イースⅠ)は、日本ファルコムが制作した名作アクションRPGです。

1987年の登場以来、今もシリーズは続いており、この記事を書いている時点の最新作イースIXが2019年にPS4で発売されています。

  1. 「アニメを動かしているみたい!」と錯覚するような綺麗なグラフィック
  2. 「え!未使用曲までも!」ハイクオリティなBGM
  3. 「職人芸だね!」と思わず唸る演出の数々

この記事は3分で読み終わりますので、最後まで読んでいってくださいね!

イースとはどんなゲームなのか?

シリーズの特徴としては「赤毛のアドルが主人公のアクションRPG」という一貫性です。

特にイースⅠは、PC-8801をはじめ、PC-9801 、X1 、X68000、ファミコン、セガマークⅢ、Windows、Nintendo DS、最近ではスマホまで、ここでは書ききれないくらい様々なプラットフォームに移植されています。

発売後、30年以上経った今もなお移植されている、息の長い作品の始まりとなった「初代 PC-8801版 イース」が、当時のゲーマーに与えた衝撃をお伝えします。

初代PC-8801版 イースを今遊ぶには?

PC-8801版「イースⅠ」は”プロジェクトEGG”というサイトで購入可能です。
https://www.amusement-center.com/project/egg/

ゲーム情報

タイトルイースⅠ
ジャンルアクションRPG
対応機種PC-8801
発売元日本ファルコム
プレイ人数1人
発売日1987年6月21日

芸術的で美麗なグラフィック

 

イースⅠの魅力の一つに芸術的なグラフィックがあります。

1987年当時のホビーパソコン PC-8801 の性能上、512色中同時発色8色しか使えない色数制限の中で、美麗なグラフィックを描き出しています。

タイトル画面の女性、平原、森、崖、神殿、廃坑、塔、どれをとってもそれまでのゲームと一線を画していました。

1986年5月  :ドラゴンクエストⅠ(FC版)発売
1987年6月  :イースⅠ(PC-8801版)発売
1987年12月:ファイナルファンタジーⅠ(FC版)発売

発売当時、イースⅠのグラフィックは、ファミコンの有名RPGと比較して非常に綺麗であり、ファミコン少年だった私は雑誌で特集記事を見て衝撃を受けました。

「これはゲーム画面ではなく、自分で主人公を動かすことができるアニメだ!」というくらいの衝撃でした。

スタート地点の街を出てすぐのフィールドで、緩やかにカーブした川が流れているビジュアルを見たとき、ドラクエのカクカクしたフィール画面しか知らなかった私は大変驚きました。(自キャラと敵キャラがいなければ、ゴルフゲームのようにも見えます)

Excelのセルにグラフィックパーツを置いたような無機質なものではなく、人がアートとして手描きし、細部にまでこだわった職人芸がここに集約されているという印象を受けました。

人物、モンスター、建物、木など様々なものにキチンと影がついているところも、リアリティーを醸し出す要因の一つになっています。

・うっそうと木が生い茂っているがキチンと奥まで入り込める森
・崖の坂道を登った先に建っている神殿
・途中に採掘場跡地を思わせる場所が開けている廃坑
・ボスの部屋の扉の荘厳な装飾
・外通路と内部がきちんと描かれている塔

など、その全てに説得力があり、イースⅠの世界にどっぷりハマることが出来ました。

ジブリ作品を思わせるほどのグラフィックを、ぜひ堪能していただきたいです。

今も錆びない高品質なゲームミュージック

イースⅠのさらなる魅力に、作曲家、古代雄三氏・石川三恵子氏が織りなすゲームミュージックがあります。

PC-8801シリーズ独自のFM音源による表現力は、1987年当時、ファミコンの音楽を圧倒していました。

家電量販店のパソコン売り場で、はじめてその重厚な音色を聴いた私は、身体に電流が走ったのを覚えています。

素晴らしいBGMが、各シーンと見事にマッチしています。

  • 街ののどかなBGM
  • 冒険の始まりを感じさせる勇ましいフィールドのBGM
  • 重々しい神殿内部のBGM
  • 緊張感のあるボス戦のBGM
  • 神殿深部のドラマチックで転調があるBGM
  • 出だしの音は小さいが、徐々に大きくなっていき恐怖心を煽る廃坑のBGM

など、どれをとっても一級品です。

そして、ゲームの後半戦は塔の中で冒険を繰り広げることになり、閉塞感がありますが、そんな閉塞感を吹き飛ばす名曲「TOWER OF THE SHADOW OF DEATH」が気分を盛り上げてくれます。

裏技でしか聞けない未使用曲も一級品

PC-8801版イースⅠの裏技として、ディスクドライブ1にDISK Bを入れて、「Y」と「S」キーを同時に押しながらゲームを起動すると、未使用曲が聞けるミュージックモードに入れます。(PC-9801版でも可能)

未使用曲は、ひとつひとつレベルが高く、必聴です。

名曲ぞろいなので、後に発売されたリメイク作品や他のシリーズ作品で日の目を見ています。

こういうところも長く続いているシリーズを楽しめる要素になっています。

ProjectEGGでは、PC-8801版イースⅠを購入すると、未使用曲を含むすべてのBGMを楽しめるミュージックモードがついてきます。

FM3音、SSG3音のうち、一つの音を消して聴いてみる、といったちょっぴりマニアックな楽しみ方も可能です。

細部にまで気を配った演出

イースⅠでは、1987年当時の代表的なホビーパソコン「PC-8801」の性能を最大限に活かした、様々な演出が施されていました。

タイトル画面の映像と音楽のシンクロ

映像と音楽のシンクロで、伝説級となっているのは、次回作のイースⅡのオープニングですが、イースⅠもタイトル画面で少し演出があります。

タイトル画面の映像と音楽がシンクロしているのです。

音楽にあわせて、

1,女性の姿が徐々に浮き上がる
2,「イース」という作品タイトルが出る
3,「Ancient Ys Vanished Omen」という副題が出る

という演出が施されています。

このシンクロはPC-8801版が一番心地よいです。

試しに、PC-9801版もプロジェクトEGGで購入し、タイトル画面を見てみましたが、PC-8801版ほど音楽と映像はシンクロしていませんでした。

是非ともPC-8801版を購入して確かめていただけるとうれしいです。

アイテム取得時の豪華BGM

これまでのゲームでは、アイテムを取得した際、軽く効果音が流れるくらいでした。

イースⅠではアイテム取得時に、いかにも”何かいいものを取った”感のある重厚なBGMが流れて、演出に華を添えています。

このアイテム取得時のBGMは、シリーズを通じて使われています。

廃坑でのスポット処理

冒険の途中で、”廃坑”という場所に行くことになります。

廃坑は暗い場所という設定なので、画面の隅々まで見ることは出来ず、主人公アドル=プレイヤーキャラの周囲しか見ることが出来ない、という演出が入っています。

ドラクエⅠで”たいまつ”というアイテムを使わないと周りが見えないという、同じような演出がありました。

ただ、イースⅠの場合は、アイテムを使うというわけではなく、丸いスポットが主人公を照らしている、という演出でした。

それが私には、ミュージカルで演技をしている主役にスポットライトが当たっているのと同じように見えました。

まるで「このゲームの主役はアドルであり、アドルを動かしているプレイヤーの貴方ですよ」といってくれているようでした。

自分の周囲しか敵が見えないので、敵にバッタリあってしまいダメージを食らうこともしばしばありました。

これは、ゲームへ緊張感を与えている演出でもあり、とても印象に残っています。

塔の渡り廊下の星の瞬き

イースⅠでは、物語の終盤で塔から塔へ移動する必要があります。

その移動中に渡り廊下(橋)が出てきます。

緊張感のある場面なのですが、閉塞感のある塔にずっといたのに、急に外が見える場所に出られたことで、一瞬ホッとする瞬間でもあります。

さらに夜空の向こうでは星が瞬いていました。

この細部にまでこだわった演出が実に素晴らしかったです。

当時の私は、この場所に着たときに思いっきり深呼吸をしてしまいました。

ラスボス戦の床が抜ける演出

ラスボスとは、台座に乗って宇宙空間のような場所に飛んで行き、戦うこととになります。

この台座はボスにダメージを与えるごとに、床が抜けていき、主人公の移動範囲を狭めてしまうため、ダメージを与える場所が攻略のポイントになります。

さらにダメージを与えた効果音と演出は、今までのゲームではあまり類を見ないものであり、当時大変驚きました。

是非、実際にご自身で主人公を操作しながら、ダメージを与える感触と演出を味わっていただきたいと思います。

【ネタバレ注意】イースⅡをやるときに覚えておくといい場面

続編であるイースⅡをやるときに、覚えておくといい場面を貼り付けておきます。

実はイースはシナリオも素晴らしいのですが、その素晴らしさについてはⅠとⅡ、両方をやらないとわかっていただけないと思います。

Ⅰの伏線回収が、Ⅱで行われます。

是非、ⅠとⅡをセットで楽しんでいただきたいです。

さいごに

高品質なグラフィック・BGM・演出が奇跡的に重なり合って生まれた名作、初代 PC-8801版 イースⅠ。

この奇跡があったからこそ、当時のゲーマーの脳裏に深く残り、今も続くシリーズになったんだと思います。

是非一度、今の若い世代の人にも触れてほしい作品です。

初代 PC-8801版 イースⅠの発売から10ヶ月後、この名作をあっさり超えてしまう続編 イースⅡが登場します。

次回は、PC-8801版 イースⅡの魅力についてお話ししたいと思います。

お楽しみに!