本宮ひろ志は歴史を変えてしまった!?『赤龍王』をレビュー

あの歴史漫画『赤竜王』のゲームをレビューしてみる!

歴史小説、歴史ものが好きな人は一度は通っているのではないかというのが、『中国史』。

特に三国志物は出版物やコミカライズも非常に多いですね。

その前の時代の『春秋戦国時代』
それに終止符を打った「秦の始皇帝」
その後の「項羽」と「劉邦」の争い

これも本当に面白い時代です!

この中の「項羽」と「劉邦」が争った時代、秦の始皇帝末期からの数十年を描いた漫画家がいます。

『本宮ひろ志』

今回ご紹介するのは、その時代を描いた作品「赤龍王」です!

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『赤龍王』ってそもそも誰の話?

中国「秦の始皇帝」の時代
彼の死後、後継者争いと民衆の反乱で国が荒れました。

その時代に生まれた「劉邦」という、後に漢王朝を樹立する男の中国統一までの道のりをたどる作品です。

日本で言うと「豊臣秀吉」がイメージに近いかもしれません。

ただし、

・王朝が200年以上続いた
・信長のような主君が存在しなかったにもかかわらず、一回の村人から皇帝になった
・ライバルがあまりにも強大だった

という点では、豊臣秀吉よりもスケールが大きいと言えそうです。

成り上がり度で言えばおそらく世界史上最高クラスであると言える「劉邦」です。

それを『本宮ひろ志』が漫画にしたのです。

しかし、未完のまま終了!

コミックスの書下ろしで完結させる!

という、こちらもなかなか類をみない終わり方をしました

この「劉邦」の建てた王朝「漢」の末期の物語「三国志」に関しても
本宮作品で「天地を喰らう」というタイトルで漫画化されています。

『赤竜王』の由来

・龍を思わせる立派な顔つき
・左の股に72個のほくろがある

ということから、このタイトルになったようです。

72というのは中国では吉数です。

赤の由来がさっぱりわかりません。

ほくろと顔の逸話はいろいろな資料に出てくるので、風格のある人ではあったようです。

そんな「劉邦」がモチーフですから、壮大なRPG、または三国志のようなシミュレーションゲームと想像してプレイしたのですが…

実態は違っていました。

まさかのアドベンチャーゲームに!


本作はまさかのアドベンチャーゲーム!

歴史的英雄のゲームがアドベンチャーとは、本宮作品おそるべしです。

アドベンチャーゲームとしては、おおむねオーソドックスな仕様。

・色々な場所に足を運び
・情報を手に入れたり話をしたり
・アイテムを入手したり

と、話を進めていきます。

アドベンチャーでありながらも、しっかりと世界史上最大クラスの立身出世を遂げた男の物語が紡がれていきます

世は戦国、油断は即死を招く

アドベンチャーなので、途中で選択を迫られることがあります。

これが他のゲームにないほど重要で…

「気軽に正義感を出すと切り殺されます」

「安直に戦争を起こすと滅亡します」

初見で一回クリアというのはかなり難しいので、何度か失敗しながらクリアを目指すことになるでしょう。

いつでもセーブができないので気軽に選べない


やりこみ度を高めるのであれば、あえていろいろやってみるのもいいのですが、ここで一個問題点があります。

どこでもセーブできるわけでもないので、一定地点前に戻される羽目になります。

節目で急にパスワードがでてくるのです。

ファミコンミニの機能で一気に快適なゲームに!

それが当時の不満だったのですが、ファミコンクラシックの登場で、どこでもセーブできるようになりました

これにより、当時めんどくさくて選ばなかった選択肢を選ぶのにためらいがなくなりました!

まあ殺されるんですけどね。

あの人の歴史的配置を変えてしまったぞ!

本作、オリジナルキャラを出したとかそういう次元でなくて、重要人物の配置が換わっているのです。

それは虞美人」です。

「劉邦」の最大のライバル「項羽」の愛人で有名な「虞美人」ですが…

なぜか序盤に「劉邦」と結婚します。

(急に滝から出てきて天下平定を勧める「虞美人」)

そして始皇帝の秦国に召し出されて別離

助け出したと思ったら「項羽」に見初められて別離

と、昼ドラのような展開になっていきます

謎は謎のまま誰にも分らず

なぜこの話に変えたのか、当時謎で仕方なかったのですが、いまでもわかりません。

原作ではどんどん「項羽」が美男子化し、最後「劉邦」は夜盗のような外見に代わっていってしまいました
※歴史書「漢書」によると、劉邦はイケメンの部類です。

まったく意味が分かりませんでしたが、一応仮説を立ててみました!

それはコチラ!!!

実は本宮ひろ志、歴史資料読んでない説

「歴史資料読んでいない、もしくは歴史資料読むのめんどくさくなった説」です!

他作品でも見られる傾向なのですが、歴史ものを扱う分においての「余白」があります

史実では書かれていないけれども「こういうことはもしかしてあったかもしれない」というものです。

歴史小説はその余白に魅力があるものも多いのですが…
あまり意味のないこの改変をしたということは、余白ではないです

つまり、ちゃんと資料を読んでいない、またはめんどくさくなったのではないかと。

状況証拠として挙げられるのが、「項羽」がどうしようもなく二枚目顔なことです

むしろ「龍顔といえばこっちなのでは!?」と思えます。

そしてイケメンなはずの「劉邦」が夜盗顔なことです。

(龍顔とは言い難い、後の皇帝)

断片的に「虞美人」との部分だけを読んで、一大恋愛ものとして書こうとしたものの、後から他の資料を読んで、

「あ、こいつ敵役じゃね?」

と思ったのではないでしょうか。

結婚したのも人物を間違えていたから???

むしろ「項羽」と「劉邦」の立ち位置を最初逆に理解していたのかもしれません

「美男美女夫婦が夜盗にさらわれて、それが強大なライバルだった」と。

そうすると最初結婚していたのにもつじつまが合ってくるような感じがします。

ただ、ゲームでは結婚のくだりはばっさりカットされているので、原作ファンとしてはそこががっかりでした。

(エンディングでは龍になってしまいました…)

そんな考察をしつつプレイしていましたが
十分に出来が良く、そしてテンポやボリュームもほどよいアドベンチャーゲームです!

歴史が好きでアドベンチャー好きな方は、ぜひプレイしてみてください!

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