リメイクが出るからこそファミコンのウィザードリィ!
動画は2024年5月23日発売のウィザードリィ1のリメイクのものです。
ファミコン版のマップにもできて、モンスターの解説はファミコン版の必勝本の著者でもあるベニー松山氏、アイテムの日本語表記もファミコン版に寄せられるそうです!
それなら今回取り上げるファミコンのウィザードリィなんてプレイしなくてもいいんじゃない、とお思いでしょうが、ファミコン版にはファミコン版のウィザードリィの良さというポテンシャルがあるのです。
それを知ってもらうために記事を執筆しましたので、一緒に伝説の名作の起源をおさらいし、「その良さ」を確認していきましょう。
- 語る上でAD&Dは重要
- ファミコン版でしか味わえないのは「モンスター」と「音楽」
- 悪い点は気にならない
この記事は3分で読めますので、よろしければ最後までご覧ください。
そのはじまりはTRPG
ダンジョン RPG(ダンジョンクローラーともいう)はもっとも RPG に近いジャンルです。
RPG の元祖は TRPG(テーブルトーク/テーブルトップロールプレイングゲーム)です。
複数人でテーブルを囲んで会話しながら物語を進めていくアナログゲームの一種です。
ゲームマスター(GM)とプレイヤー(PL)に分かれて、ルールブックに記載されたルールに従い、紙やペン、サイコロなどを用いてプレイする。
TRPG の欠点は1人ではできないことです。
その欠点を補うため、コンピュータにゲームマスター役をやらせたのが始まりだったのです。
TRPGの祖、D&D
TRPG の祖は D&D(ダンジョンズアンドドラゴンズ)といって、ファンタジーでダンジョンを主戦場とするゲームです。
だからコンピューター RPG も最初はダンジョンを舞台にしていたのです。
2D視点のフィールド型のウルティマもありますが、現在まで根強く残ったのはウィザードリィです。
何よりパーティ型ダンジョン RPG としては元祖です。
ウルティマ型も後にダンジョンを取り入れていきました。
ウィザードリィは D&D の発展形の AD&D(アドバンスドダンジョンズアンドドラゴンズ)をもとにしていました。
当時 RPG といえばこの AD&D を指していたからです。
なので、ダメージの算出方法もサイコロの乱数を使っていたり、アーマークラスという防御力を扱うシステムも採用されています。
能力値やそれに伴う行動(罠を外す)ももろ影響を受けていました。
それだけ AD&D のシステムが RPG として完成されていたからでしょう。
しかし詳細すぎて TRPG としてはやりにくいという声もあったようですが。
以降の連綿と続く RPG たちは多かれ少なかれこのシステムの影を引きずっています。
そういえばずばりそんな D&D のゲームバルダーズ・ゲート3もありましたね。
ファミコン版はこう楽しめ!
リメイクもある現在において、ファミコン版のウィザードリィのアドバンテージはなんでしょうか?
中古屋で実機を求めたり、わざわざ互換機などでプレイする意義はあるのでしょうか。
答えましょう。
ズバリ、あります。
むしろいまでも色あせていません。
末弥純氏とドット職人の仕事の見事な融合
まず注目して欲しいのは末弥純氏が描いたモンスターのイラストであり、それをドット絵に落とし込んだグラフィックの妙です。
これはファミコン版でしか味わえない体験なのです。
リメイクの美麗な3Dグラフィックも見応えはあるでしょうが、荒いながらも特徴をよく捉えているドットのグラフィックは、唯一無二な世界を作り上げてくれています。
飽きのこないデザインが、たとえ画面に一枚絵だけしか表示されていないとしても、逆に迫力が生まれています。
創意工夫が生んだ、レトロでも十分納得のいく出来栄えとなっているのです。
羽田健太郎氏の雰囲気に合ったバッチリな音楽
これもファミコン版だけの特権です。
プレイステーション版も羽田健太郎氏が担当していますが、クオリティはファミコン版のほうが断然な出来です。
ファミコンの音源は搭載されている音源チップの機能が制限されているため、1度に鳴らせる最大同時発音数は4音です。
音の種類は方形波2音、三角波1音、ノイズ1音で、構成は3和音の電子音とノイズのみというシンプルなものです。
これだけ単純なのに、情感豊かな、臨場感あふれる名曲になっています。
しかも、ハズレ曲がないのも驚きです。
原作者にモンスターのグラフィックともども絶賛されました。
呪文が効きやすくなっているのはファミコン版ならでは
ファミコン版は UI は悪いですが、補って余りあるシステムのアドバンテージがあります。
UI が悪いといっても、単純な操作ゆえに慣れてしまえばこういうものかと気にならなくなります。
アドバンテージは2つあります。
1つ目は、初心者に優しいバランスです。
言ってしまうと、地下6~8階のダンジョンマップは逆に難しくなっています。
しかし攻略上、この階層は特に行く必要はありませんので、ノーカウントとさせていただきます。
なんといってもまず、呪文の効きが違います。
もとのバージョンでは敵を眠らせるカティノや沈黙させて呪文を唱えられなくするモンティノがとても効きずらくなっています。
それにポイズンジャイアントやフロストジャイアントにマカニトが効くよう変更されています。
全体に呪文が効きやすくなっているのです。
スペルセービング(呪文無効化率)の高いグレーターデーモンなどは別としてですが。
これが結果として「やりやすさ」につながっています。
リセット技が使える!
2つ目は他のプラットホームにはない圧倒的なアドバンテージです。
それは「リセット技」です。
ウィザードリィはオートセーブか手動セーブかのどちらかですが、手動セーブは若干手間がかかり、面倒と感じる方もいるはずです。
一方オートセーブは楽チン。
けれどもリメイク版を例にとりますが、不利な状況、状態になってもやり直しがきかない、というデメリットもあるのは事実。
(リメイク版は節目ごとにセーブデータをあらかじめ複製しておくというテクニックもあります)
その点ファミコン版はキャンプをとることで手動セーブの代わりになり、レベルアップの際や、戦闘で不利な状況になってもその画面から先に進まずにリセットすれば、無かったことにできます。
タイミングさえ間違わなければ、この楽さはファミコン版ならではなのです。
最大の欠点はアーマークラス問題だが許容できる
バグが多いのですが、その中でも重大なのが20年近くたって判明したアーマークラス(AC)問題です。
これはプレイヤーキャラクターのアーマークラスがシステムに反映されていないというもので、回避判定には攻撃した者のアーマークラスが使われているという欠点です。
なんと、アーマークラスを下げる呪文を唱えても何の意味もないのです!
ただ、ウィザードリィのアーマークラスはダメージ軽減ではなく回避率を表しており、ダメージ計算は正常だったためゲームバランスは大きく崩れなかったのです。
ランダム性が高いゲームなので問題が森の中に紛れて気にならならかったというのもあります。
もし気になる方がいるのでしたら、有志によるパッチが出ていますので互換機などでそれを当てるという手段もあります。
さいごに
リメイク版も出ている現在、ファミコン版をプレイするのは億劫かもしれません。
ソフトと実機やそれに相当する機器を用意しなければならないからです。
レトロゲームが高騰している中では高額になっているため、更にためらわれるかもしれません。
それでも、それでもです。
やりたくなってしまう魅力がファミコン版のウィザードリィにはあるのです。
レトロゲームが好きなら、ウィザードリィも好きなら環境を整えるのに後悔はしないはずです。
すぐそこに、終わりなき懐かしいダンジョン探索の日常が待っているのです。
ライター紹介
- 本とゲームが大好きです!
ゲームはアナログ、TRPG、ボードゲームも好物。デジタルは特にアドベンチャーとRPG。
他にもイラスト、音楽、映画、アニメ、マンガと、言ってしまえばカルチャーに浸かっているようなものです。どれもこれもがいいんです。
無類の珈琲党。