シリーズをジャンプさせた一作
大跳躍。
後のシリーズに大きな影響を与えることになる本作を一言で表せば、こういっていいでしょう。
物事には起爆剤となるような出来事が生まれることがあります。
それが本作、ファイナルファンタジーの第2作目でした。
それは当時の数々の新要素としてゲーム内に散らばっています。
このレビューではそれらを抽出し、わかりやすく分けて述べていきます。
今日まで続くシリーズは、どのように形作られていったのでしょうか。
- 礎となった要素
- いかに礎は形成されたか
- 今遊んでも面白いのか?
この記事は3分で読めますので、よろしければ最後までご覧ください。
礎となった要素
ファイナルファンタジーというと何を思い浮かべるでしょう?
クリスタルかもしれませんし、ケアルやポーションといった用語かもしれません。
ファイナルファンタジー2にはその後のシリーズを決定づけていくような要素がすでに出てきています。
特徴的なものを以下にあげていきます。
- シド
- アルテマ
- チョコボ
- モンスター
シド
シリーズの1から飛空艇は出ています。
けれど、シドが出てくるのは2からなのです。
ファイナルファンタジーは1987年に発売されましたが、この時点ではシドは出てきません。
2になって初めて、シドという飛空艇の開発者で商売をしている人物という設定がつくられました。
以降のシリーズで、飛空艇や科学技術に関わる人物として定着しました。
協力者や仲間、時には敵やライバルになったりしています。
容姿や性格も作品によって異なっており、おっさんや青年、イケメンやブリ虫など、様々な姿で登場しています。
シドというキャラクターは、ファイナルファンタジーシリーズの象徴的な存在の一つとなり、他の作品やメディアにも影響を与えました。
例えばキングダムハーツシリーズではFF7やFF8のシドが登場し、主人公のソラ達をサポートします。
シドという名前や飛空艇という要素が、ファイナルファンタジーシリーズへのオマージュとして使われているのです。
アルテマ
アルテマという要素が出てきたのも2からです。
ファイナルファンタジー2におけるアルテマは、ミシディアの魔道士が生み出した究極の魔法です。
この魔法は無属性のダメージを単体攻撃で9999ダメージ、全体攻撃で2500~4500のダメージを与えることができます。
しかしながらこの魔法はそれ自体の熟練度もそうですが、武器や他の魔法の熟練度に依存しているため、やりこまないと使い物にならないのでした。
後に魔法や召喚獣としても登場します。
魔法としては、多くの作品で習得するのが困難な、壮大な爆発を起こす魔法となっています。
召喚獣としては、FF12などの作品で、強大な攻撃を繰り出し、白い羽を持つ神秘的な姿をしていたりします。
アルテマは、ファイナルファンタジー世界における究極の存在として設定されています。
チョコボ
ファイナルファンタジー2におけるチョコボは、チョイ役でした。
カシュオーンの森に棲んでいる珍しい鳥と言いう設定で、乗ると敵に遭遇しなります。
しかも、主人公が移動するよりもスピードが速い。
その森にしか棲んでいなく、降りるとどっかに行ってしまうので移動手段としては一時的なものでした。
考案者はシリーズの開発に携わった石井浩一氏で、モデルは祭りの夜店で買ったひよこだといわれています。
チョコボは2以降、ファイナルファンタジーのマスコットキャラクターの一つとなりました。
テーマソングや鳴き声である「クエッ!」も親しみを持って迎え入れられました。
その人気はととどまることを知らず、主人公に据えられたスピンオフ作品まで作られています。
モンスター
ファイナルファンタジー2から登場しているモンスターも、見逃せない要素です。
後のシリーズに、たびたび出てくるからです。
- アダマンタイマイ
- モルボル
- ボム
- クアール
- ベヒーモス
- テツキョジン
少なくないモンスターの数ですね。
ファイナルファンタジーシリーズをプレイしたことのある方には馴染み深いモンスターのはずです。
これらのモンスターは特徴的で、攻撃手段も特殊なものを持っていたりします。
例えばクアールの「ブラスター」。
食らえば、一発で死ぬ可能背がある恐ろしい攻撃です。
けれどももしかしたら主人公たちよりも親しみがわいているのかもしれません。
良い敵というものは、良い主役と同じくらい、その作品を魅力的にし盛り立ててくれます。
それぐらい、定着した、定番モンスターとなっているのです。
いかに礎は形成されたか
ファイナルファンタジー2は、礎となり、後のシリーズを形成する内容を持っていました。
- キャラクター成長システム
- ストーリー展開
- ワールドマップ
キャラクター成長システム
まず、キャラクター成長システムが挙げられます。
前作のような、レベルが設定されており、レベルアップすると各種ステータスも上がっていくという方式はとりませんでした。
クラスという概念もありません。
どうしたかというと、戦闘中に取った行動や受けた攻撃によって能力が少しずつ上がっていくという仕組みをとりました。
これにより、プレイヤーは自分の好み合わせてキャラクターを育てることができました。
例えば、剣を使って攻撃し続ければ、力や剣の熟練度が上がり、戦士タイプになります。
逆に、魔法を使って攻撃や回復などを行えば、魔力や魔法の熟練度が上がり、魔法使いタイプになります。
もちろん万能なキャラクターを目指してもいいのです。
これはRPGの歴史においても画期的なシステムであり、シリーズの成長システムの設計を独自の特徴を持たせようという契機になって、礎として形成されていったのです。
ストーリー展開
次に、ストーリー展開がドラマチックでした。
ファイナルファンタジー2は、帝国の世界征服に窮地に立たされた若者たちが、多くの出会いや別れを経験しながら帝国と闘争していく物語です。
主人公たちはそれぞれに個性や感情を持っており、ストーリーに深くかかわってきます。
仲間や敵との死別などの衝撃なシーンも盛り込まれています。
「帝国」「仲間との死別」「キャラクターに個性がある」などの特徴は、以降のシリーズにも採用され、受け継がれていったのです。
ワールドマップ
ファイナルファンタジー2のマップには、これまでなかった内容が盛り込まれました。
ストーリーの展開によって、新たな場所が出現したり、破壊されたりするのです。
特定の場所へ行くとイベントが発生したりもしました。
これは、ワールドマップがストーリーと連動している、つまり状況に合わせて変化するライブ性をもっていたということです。
FF5などでも取り入れられていきました。
ここに、ここでも後のシリーズの礎となる内容が形作られていったのです。
今遊んでも面白いのか?
問題となることが1つあります。
キーとなっているゲームであることはよくわかりました。
しかし、ゲームとしては、今やっても面白いのか?
最近のゲームと比べると見劣りするのではないのだろうか?
その答えが、2021年から展開されている「ピクセルリマスター」です。
特徴を以下に挙げていきます。
- グラフィックやサウンドが高精細にリファインされた
- ドット絵はオリジナルデザイナーの渋谷員子氏が監修
- 高速モードなどプレイを快適にする機能の追加
- より遊びやすいようなUIの改良
- 後列にも通常攻撃が可能
- 盾を装備しても素手扱いで殴れる
- 鑑賞用のモード追加
- 天野喜孝氏のイラストや植松伸夫氏による楽曲
- オートセーブや中断セーブ可能
- 斜め移動やBボタンダッシュが可能
- 常に地図が見られる
どうでしょうか。
今遊んでも、見劣りしなくなっているはずです。
さいごに
ピクセルリマスターは2023年4月には PS4、Switch 版も発売され、さらに手に取りやすくなりました。
1〜6がセットになったものもありますが、もちろん単体でも入手でき、値段も高くありません。
容量もそんなに取りません。
大作ゲームの合間に、遊ぶのも良さそうです。
実際にその目で見られて、礎を確認されてはいかがでしょうか?
ライター紹介
- 本とゲームが大好きです!
ゲームはアナログ、TRPG、ボードゲームも好物。デジタルは特にアドベンチャーとRPG。
他にもイラスト、音楽、映画、アニメ、マンガと、言ってしまえばカルチャーに浸かっているようなものです。どれもこれもがいいんです。
無類の珈琲党。