【後編】優しさを捨てきれぬオールドロボット「ロックマンX」の魅力紹介!

優しいまま戦いの中で果てた青き英雄

【前編】優しさを捨てきれぬオールドロボット「ロックマンX」の魅力紹介!

前編ではエックスはどのように誕生したのか、どんな力を秘めているのか、どんな性格なのかなどについて語りました。

後編ではエックスの生涯に触れていきます。

「ロックマンX」シリーズは現在も完結はしていないシリーズですが、実はロックマンXの舞台からさらに未来を描いた「ロックマンゼロ」シリーズで、エックスの最期が描かれています。

後編では、エックスがどのような最期を迎えたのか、親友であるゼロに何を託したのか、そして彼が夢見た世界とは何かについて語っていきたいと思います。

後編の内容は…

  1. エックスが目指した理想郷
  2. たった独りの戦い
  3. 身体を失い魂だけの存在に
  4. エックスの最期
  5. エックスの夢は実現されたのか

こんな感じでしょうか?

この記事は7分で読み終わりますので、ぜひご覧になってください!

エックスに芽生えた夢・理想

優しい性格であるが故に、常に迷いや葛藤を抱えながら戦ってきたエックス。

そんな彼は、部下に対してある夢を語ったことがあります。

それが、「ヘブン」という争いのない誰もが共存できる平和な世界を作ること。

ライト博士が望んでやまなかった人間とロボットが平和に共存する世界とほぼ同じ世界を願ったエックスは、無限の危険性ではなく無限の可能性を選択しました。

疲れ果てながらも理想郷を建設

終わらない戦いの途中、自らの危険性を察知した親友のゼロは、争いの火種である自らを封印しました。

人間もレプリロイドも、仲間たちもどんどん失っていくエックス。

それでも戦って、戦って、戦い続けて、ついに人間とレプリロイドが平和に暮らせる世界「ネオ・アルカディア」を建設するにまで至りました。

死ぬことは許されなくなった

もし無限の危険性を選んでいたら、エックスは人類の敵として処分されるか、暴走を続けて早いうちに身を滅ぼしたことでしょう。

しかし、無限の可能性を選んだ故にエックスは世界の希望となり、逆に死ぬことが許されなくなったのかもしれません。

無限の可能性を示すということは、そこから一つを選び、結果にたどり着くためには途方もない時間が必要であるともいえます。

であるが故に、エックスは100年以上も戦い続けることになりました。

果たしてそれは、ライト博士が望んだエックスの姿だったのでしょうか。

エックスのそばに仲間がいるのなら大丈夫だと信じていたのでしょうか。

独りぼっちの英雄

現実は残酷でした。

親友を、仲間を失ったエックスは孤独の道を歩むようになります。

エックスの周りには彼を指導者として慕う者は多くいましたが、彼の理解者はいなかったでしょう。

まるで、ライト博士が晩年、自分の研究を理解されず孤独に過ごしたように、エックスは満たされることのない生を過ごしていました。

やがて戦いの中で何も感じなくなっていく、自分の心に絶望さえ覚えるようになっていきます。

争いの原因を封印し魂だけの存在に

それでもエックスは戦いを続けなければなりません。

そんな彼が最後にしたことは、かつて大きな争いの原因となった「ダークエルフ」と呼ばれる、レプリロイドの魂のようなものを自らの体に封印することでした。

そして自らの魂(サイバーエルフ)は自身の体から抜け出し、エックスはボディを捨てて魂だけの存在になったのです。

エックスはこの時、ようやく戦いから解放されたのかもしれません。

親友がいない世界ではあったものの、彼はようやく、一時の自由を手にしたのでしょう。

自身のコピーを止めるために

しかし、エックスの自由はすぐに終わりを迎えます。

ネオ・アルカディア上層部は失ったエックスの代わりに新たな指導者を生み出しました。

それが、エックスのDNAを用いて作られたコピーエックスです。

コピーエックスはエックスど同等の力を持ち平和を求めるように作られましたが、オリジナルと違い「悩む」ことはできず、オリジナルの功績を自分のものとして自らを「英雄」と名乗り反抗するものは人間であろうと処分の対象にしていきました。

「悩む」ことができるエックスは、その状況をただ見ているだけなどできません。

魂だけの存在になりながらも、再び戦場に舞い戻ることになります。

親友と共にコピーに立ち向かう

コピーエックスによりイレギュラー認定された人間とレプリロイドは、ネオ・アルカディアを脱出しレジスタンスを結成。

反対活動を続ける中で、レジスタンスたちはゼロが封印されていた廃研究所にたどり着き彼を解放。

同時にエックスも正体を隠しながらゼロとレジスタンスをサポートし、コピーエックスの破壊に成功しました。

ボディを失い余命わずかに

コピーエックスを失い弱体化したネオ・アルカディアですが、一国家としての力は強く残っておりレジスタンスにとってはいまだ脅威となっていました。

逆転を狙うレジスタンスの司令官「エルピス」は力を求め、ネオ・アルカディア中枢にあるオリジナルエックスのボディ、つまり強大な力を持つダークエルフが封印されている場所に潜入してこれを解放。

エックスはボディを破壊されてしまい、徐々に魂だけの状態で意識を保つことが難しくなってきて余命いくばくもない状態へと陥ってしまいました。

親友に世界を託す

それでもゼロのサポートを続けていたエックスですが、ついに限界を迎えます。

しかし、エックスには自分が消えていくことへの寂しさはありませんでした。

エックスはゼロになら自分が守ってきた世界、これから作りたかった世界を任せられると信じて、最期まで希望を忘れずに、数百年にわたる生涯に幕を閉じたのです。

その最期はどこか穏やかでした。

親友に世界を託すことへの申し訳なさもあったかもしれませんが、もしかしたらこれで本当の意味で戦いから解放され、自由になれるという安堵もあったのかもしれません。

エックスは決して自分を英雄だと名乗ったことはありません。

いつも悩んでばかりのいくじがないやつでした。

しかし、そんなエックスだからこそ戦えたのです。

そんなエックスだからこそ、筆者を始め多くのプレイヤーはエックスを青き英雄と称えるのでしょう。

ライト博士とエックスの夢の果ては?

その後の未来では、人間は自らを機械化するなど徐々に人間とレプリロイドの境界があいまいになっていきます。

そして、エックスたちがいた時代から数千年後の世界では、人類は滅亡して遺伝子データのみが残っている状態に。

代わりに地上では「デコイ」という子どもを産むことができる、ほとんど人間と代わりない人工生命体が、多少の争いはあれど平和に暮らしています。

この世界ではエックスの意志や歴史などはほとんど語られることはありません。

そして人間が滅亡しているということを考えると、ライト博士やエックスが目指した理想郷とは異なるのかもしれません。

しかし、こうも考えられます。

人間と機械という相容れない二つの生命がまるで一つになったかのようなデコイたちが暮らす世界は、人間と機械という境界がない、まさに共存する世界ではないでしょうか。

完璧でなくても、確かに数千年前からの願いは紡がれ、無限の可能性の一つを形にできたのかもしれません。

エックスをほめてあげて

最期まで戦い抜いたエックスを、もしライト博士が見たら何を想うのでしょうか。

望まぬ戦いを強いてしまい、死なせてしまったことを悔やむのでしょうか。

しかし、エックスは優しいですから、ライト博士に怒りを向けることはないでしょう。

ですから筆者はついライト博士に望んでしまいます。

どうか、最期まで希望を捨てずに世界の平和のために戦った息子を、ただただ「よくがんばった」とほめてほしいのです。

ライター紹介

政喜
ゲームとバーチャルアイドルとバイクが好きなライターです。好きなゲームのジャンルは2Dアクションで、ロックマンシリーズは今でもハマっています。最近やっているゲームは『マリオカート8DX』『ロックマンX アニバーサリーコレクション』『ロックマンXDiVE』などです。キャラクターの深掘りをしてゲームの魅力を発信したり、読んだ方から「このゲームやってみよう」と思ってもらえたりするような記事を書いていきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。